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<講演題目>
視覚的質感
<講 師>
浅野(村木) 千恵 氏
安田女子大学家政学部生活デザイン学科 准教授
浅野 晃 氏
関西大学総合情報学部 教授
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講演概要:
視覚的に物体を判断するために,物体形状や色についての情報は重要な問題としてしばしば注目されるが,物体の質感対しては,視覚的にどのような情報をえて判断しているのかという問題については,意外と見落とされがちである。しかし視覚的に得られる質感の情報は,我々が物体の性質を理解して次の行動を起こすときに,大きな影響を与えている。一般的に質感と言うと,その判断は触覚が中心に考えられており,実際に深いところで物質/物体の良し悪しを判断する上で非常重要な感覚である。しかし,実際に「触る」という行動を起こす前に,人間は視覚によって事前に質感を推測するという行動をとっている。そしてその判断は,視覚的な情報だけであるにもかかわらず,様々な触覚的質感を推測している。それは例えば「見た目には柔らかそうな布」というような判断であり,人は,触覚だけでなく視覚によっても質感を知覚しているのである。本講演では,このような視覚的質感に影響を与える情報はどのようなものであるのかについて,感性工学の視点から画像処理と統計学を用い,視覚的質感を定量的に分析してきた我々の研究を紹介する。 |
略歴:
浅野(村木) 千恵 氏
平成 6年 3月 奈良女子大学大学院 人間文化研究科 生活環境学専攻博士課程 学位取得.
大学院時代,布の風合いや触感,温熱感などの研究を行う研究室に所属し,それらに関する研究も行っていたが,学位論文としては,それらに関わる繊維素材の基本的な物理特性の解析を中心に行なった.学位取得後,平成 6年 4月から,広島大学 原爆放射能医学研究所 環境情報計量生物研究分野の研究生として,統計学,情報科学に関わる研究を開始した.
その後,岡山理科大学 総合情報学部 生物地球システム学科 専任講師(平成 9年 4月~平成14年3月),広島大学留学生センター客員研究員(平成18年 4月~平成22年3月),
広島大学大学院 総合科学研究科 非常勤講師(平成19年 4月~平成21年3月)等経た後,
平成21年 4月より ,安田女子大学 家政学部 生活デザイン学科 専任講師として就任.
また,平成25年 4月より, 安田女子大学 家政学部 生活デザイン学科 准教授,同大学院 家政学研究科 准教授を兼担し,現在に至る.その間,感性工学,統計学,情報科学,被服材料学など複合的な視点から研究を続けている.
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浅野 晃 氏
平成4年3月に大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士後期課程を修了し,博士(工学)の学位を取得.平成4年4月に九州工業大学情報工学部機械システム工学科助手,平成10年4月に広島大学総合科学部助教授(数理情報科学コース),平成17年7月に同学部教授となり,平成18年4月に同大学大学院工学研究科教授となった.平成23年9月には関西大学総合情報学部に移って教授となり,現在に至っている.
大学院時代以来,画像処理,とくに非線形画像処理やマセマティカル・モルフォロジの研究を行っている.広島大着任以後は統計学の講義を担当し,統計学を活用した視覚感性科学・医用画像工学の研究も行っているほか,統計学の入門書も出版している.浅野(村木)千恵とは,視覚感性科学の分野で共同研究を進めており,2007年にはInternational Conference on Kansei Engineering and Emotion Research 2007 (KEER2007) でExcellent Paper Awardを共同受賞した.
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